花とウタ

オアシスを夢想

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胎内で僕らはひとつだった。
いつのまに僕らはふたつになったのか。そんなことはどうでもいい。問題とは君と僕が今ここにいるということ。胎内で僕らはひとつだった。問題とは、ひとつがふたつであるという矛盾。理由や過程なんてまどろっこしいものは問われていない。今のこの結果こそ、最大の矛盾。最大の問題。


「そこでね、考えたんだ」
「何を」
「リンと僕がひとつに戻れる方法」
「それがこれ?」
「それがこれ」
「ふうん…頭弱いのね、レン」


そう嘯くリンの肌は白く、傷もなく美しい。問題となるのは理由または過程ではない。結果だ。この白い肌に赤い血の痕を残すのだ。同じものになるのだ。問題の解決策など判っている。ただ胎内へ還るのみ。ただ胎内へ。僕らがひとつだった胎内へ。同じものへ、還るのみ。

痛がるリンを押さえつけて、白い肌に残る赤い血の痕にただむずがゆさを感じた。








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(どこで僕らは違ってしまったのかな)
2009/12/12
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