花とウタ

オアシスを夢想

愛しいのだと嘯いた

「ばいばい、リンちゃん」



ああそう、そうね。また始まるのね。
おいでといやらしく笑ってやれば彼はその場に跪いた。イイ子ね。踏んでやると彼は心地よさげに声を上げる。マフラーはぐちゃぐちゃ。キレイな青い髪もどろんこね。ああ、ああ、愛しいわ。



「あ、リンちゃん、痛い」
「痛いのがすきなんでしょ?」



ばかなカイト兄。ねえ、次はどこがイイかしら? ぐい、と足に力を込める。
言ってごらんなさい。踏みつけた舌で。このぼろぼろのマフラーでスキなところ絞めてあげるわ。



「ばいばい、カイト兄」



こんちには、幼いジェラシィ。もう兄なんて呼んでやらない。
カイト、と乾いたくちびるを叩くと、彼もまた私のことをリンと呼び捨てる。
ああ、こんなところをメイコ姉が見たらどう思うかしら? レンは呆れるかもしれない。ねえ、ねえ、カイト、ゾクゾクするわ。

彼が呆れる顔を見るだけで、私のジェラシィは満たされてどうにかなってしまうの。あなただって、同じでしょう?








愛しいのだと嘯いた
(狂ってるなんて言わないで、あなたのせいよ)
2010/03/15
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